ヒツジ


ヒツジ=偶蹄目 ウシ科 ヤギ亜科  ヒツジ属
英名:Sheep
学名:Ovis aries
生息地:モンゴル、中央アジア、イギリス、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランドなど放牧が可能な地域に生息。
食べ物:草
寿命:約20年
体長:平均1.5m
特徴:螺旋状または渦巻き状の角、白く縮れた体毛。
生息状況:野生種は絶滅危惧種が多い。

群れたいから群れるヒツジたち


生態
ヒツジはウシと同様の反芻動物になり蹄も2つに分かれている。ただヤギなどとは違い、草しか食べない。ヒツジの視力はとてもよく、特に視野は270〜320°も見え、ほぼ真後ろを頭も動かさずに見ることができる。しかし、奥行きがあまり知覚できないらしく、影や地面のくぼみにひるんで動けなくなることがあるようだ。
ヒツジは群れで生活している。混種の群れでは同じ品種同士が小さなグループを作って行動し、メスヒツジとその子ども達は大きな群れの中で行動を共にする。この群れは社会的な行動よりも単純に群れたいから群れる集団になっている。ヒツジは群れから引き離されると強いストレスを受けるようだ。それに、群れの一匹(先導者)が少し進むと他のヒツジ達もその一匹に付いていく。例えば群れの一匹のヒツジが何かに驚き走り出したら、周りのヒツジたちもその一匹に付いていってしまうのだ。ヒツジの家畜化にはこの性質を利用することが重要になるという。ちなみに、ヒツジは何かが向かってくると一斉に逃げ出し、向かってくるのが自分たちではないと判断したら止まって草を食べ始めるという。一見臆病な動物に見えるが意外に冷静?それとも貪欲?なのかもしれない。

ヒツジの行動を見ると頭が悪そうに見えるが、実は頭が良い。ある研究によると、ヒツジは約50頭の仲間と人間10人の顔を見分け、その記憶を2年たっても忘れていなかったことが実験で発表された。そして、見慣れた顔を見ると安心し、怒っているか楽しいかを表情から判断しているという。ちなみに楽しそうな人を好むらしい。


ヒツジが家畜化されたのは今から約1万1000年前のイラク北部になるという。原種はムフロンと言われ、現在のヒツジのほとんどはアジアムフロンが原種と言われている。家畜ヒツジの種類は約3000種もいるらしく、主に羊毛用、乳製品、食肉用などの為に飼われている。適応能力も高く、砂漠から熱帯地域でも飼われているが、家畜ヒツジの半数は細毛種になり、羊毛繊維を生産するために飼われている。その中でも代表して多い種がメリノー種になる。この種は地中海地方で生まれスペインで繁殖された。そこから品種改良され現在では世界中で飼われるようになったようだ。

ヒツジはイギリスでは昔から「黄金の蹄」と言われるほどの家畜だった。牧草地へヒツジを放牧すると牧草が踏みつけられることによって丈夫になり、牧草の根元から食べ尽くすので草を刈り取る手間を省くことができるという。

属名Ovis(オウィス)はヒツジを示すラテン語になる。もとはインド・ヨーロッパ語のuvere(おおう、着る)の意からきているという。これは羊毛が衣服として古くから利用されていたからだろう。中国名の羊は、その頭、角、足、尾の形を表した象形文字で、和名のヒツジは一説によると「ひげのあるウシ」の意味とされているようだ。


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