写真=福岡大牟田動物園
ニホンツキノワグマ=食肉目 クマ科 クマ属
英名:Japanese black bear
学名:Ursus thibetanus japonicus Selenarctos thibetanus
生息地:四国、本州
食べ物:ブナの実、ドングリ、タムシバの花、などの植物質のものを主食とし、はちみつ、動物の死骸、なども食べる。
寿命:野生で20~25年と言われている。
体長:110~150センチほど。体重:オスは80~100Kg、メスは50~80Kg
特徴:はっきりとした耳と全紙が黒色の毛で覆われ、胸には三日月のような白斑がある(白斑のない熊もいる)足の裏は毛がない。
別名:ニホングマ
漢字:月輪熊
変化するクマの生態
四国、本州の山林に生息し、九州では絶滅したと報告されている。夜行性で、昼間は樹洞や岩穴などで休む。生息地の環境にもよるが、主に11月中旬から4月下旬までの約5か月間を冬眠する。
越冬を終えて必ずするのは「栓」と呼ばれる太くて水気のない大きな糞をするのが特徴。目覚めると植物の新芽、若葉、前年に落ちたドングリやブナの実、タムシバの花などの植物質を食べるが、雪解けの雪崩にやられた動物の死骸など腐った肉でも食べるという。近年では猛禽類の雛やニホンカモシカ、ニホンシカなどを捕獲して食べるところを撮影されたことで、環境によっては肉食傾向のクマも存在すると考えられている。
春から夏、その時々に咲く花や実をつける植物、アリや蜂、昆虫、サワガニ、キイチゴなどは好物になる。秋になると、冬眠のために十分な脂肪を蓄える必要があり、ブナ類、ナラ類の樹木を探す。ブナは脂質とタンパク質が多く、ナラは炭水化物を多く含む食物でクマにとって重要な植物になる。なおかつ、ブナ類、ナラ類は一か所に多く自生している傾向があるため、移動範囲も少なくてすむので大きなメリットにもなる。
熊はブナ類などの木に登って食事をするとき、実のなった枝を手繰り寄せて枝を折り、食べ終わったら自分の尻に敷く、これを繰り返すうちに鳥の巣のようなベットになり、これをクマ棚と呼ばれている。まれにクマ棚に寝ていることもあるという。
ツキノワグマはほぼ決まった地域を行動し、特定のものを大量に食べる。だが固定した縄張りをもたず、食料が多いところでは他のクマと行動圏が重なる。食料不足の年は行動範囲を広げていく。
繁殖期は初夏になり、繁殖期に受精したものは秋ごろの脂肪が十分蓄えられると着床し妊娠すると考えられている。凶作だと妊娠せずに流産するようだ。これは母子共に倒れることを防ぐためと言われている。出産は冬眠中の1月頃に出産し、主に1~2頭の幼獣を産む。授乳期間は3か月半ほどになり冬眠明けには体重が10倍になっている。生後2~3年は母クマと生活し生まれてから3~4年経つと性成熟する。
身体能力は高く、走るスピードは短時間なら時速50㎞程度になる。泳ぎも上手く柔軟な体をし、狭い場所でも猫のようにUターンができる。木登りが得意だがジャンプ力はない。
「熊剥ぎ」という習性があり、樹木の皮を根元から3㎝程度にわたって剥ぎ取り爪痕や歯痕を残す。これにより枯れ木を引き起こすこともあり、獣害とされている。
ツキノワグマは日本童話や日本の物語などにもよく出てくるので日本人になじみが深い動物。そして、毛皮は敷物、肉は食用、胆のうは「クマノイ」といって珍獣されてきた。
クマは臆病な性格で、昔から人間を怖がっていた。だが近年では山での過疎化や高齢化によって、今まで農耕に使われていた土地が荒れ、臆病な熊も餌を探すため人里に侵入しやすくなってきた。そして地域ごとに広がる狩猟の減少がクマが人を怖がらなくなってきている原因にもなっている。
もしも熊と遭遇したら冷静に目を合わせながらゆっくりと後ずさりして逃げること。大声や大きな動作はかえって熊を刺激して攻撃してくる可能性があるので注意。そして、決して死んだふりはしないように。でも何をやっても襲ってくる最悪の場合は抵抗するしかない。
ちなみに熊用の撃退スプレーもあるので、携帯すると少しは冷静な判断ができるかもしれない。
属名、ウルスス(ursus)はクマうを示すラテン語。同じくセレナルクトス(selenarctos)はギリシア語の「月」seleneと「クマ」arktosを合わせたもの。胸にある白い三日月模様にちなむ。
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