インドサイ

写真:金沢動物園


インドサイ=奇蹄目 サイ類 サイ科 インドサイ属
英名:INDIAN RHINOCEROS
学名:Rhinoceros unicornis
生息地:北インド(ブラーマプトラ谷)、ネパール。
食べ物:草食性(木の枝、果実、水生植物、タケノコ)など
寿命:約40年(野生)
体長:約3.5~4m 体重:約1.5~3.2t
特徴:ずっしりとした灰色の体に鎧のような皮膚。ラッパのような耳と小さい目に一本の角。
生息状況:絶滅危惧IB類
別名:イッカクサイ、ヨロイサイ


時速50キロの突進!!



生態
インドサイは大きな体格に鎧のような分厚い皮膚をもっている。その厚い皮膚は「ひだ」と呼ばれ、ひだの内側には伸縮可能なピンク色をしたやわらかい皮膚があり、動くたびにひだがずれる仕組みになっている。そして、そのやわらかい皮膚には寄生虫などが付きやすいのだが、サギやウシツツキなどが寄生虫を食べてくれるようだ。
主に単独性で生活をしそれぞれに縄張りをもっているが、沼などで水浴びをすることを好み、水量が豊富な雨季などによっては複数のサイが集まり共有することもあるという。
サイは暑さに弱く、日中の暑い時間帯は日陰や水浴びをし、朝方や夕方に餌を求めて行動をする。そして、丈の高い草を踏みしめて獣道を作り、餌を探して歩く。美味しい餌があったら唇に草を巻きつけて引き抜いて食べるらしい。サイは目が小さくて視力も悪い。だが鋭い嗅覚や聴覚をもってもいる。サイの嗅覚では地面に残された匂いの痕跡などで仲間を探しあてることができるようだ。
そして、インドサイの天敵は虎になるようだが、それはまだサイが子どもの時のみになるらしい。大人になったサイは分厚くて頑丈な皮膚と武器になる角があり、一匹の虎だと太刀打ちできないようだ。そして、驚くことにこの巨体にもかかわらず跳ねたり素早い方向転換をしたりと俊敏な動きを見せる。しかも、時速約50㎞もだして突進するという。
繁殖期になると、メスをめぐってオスたちの戦いがはじまる。インドサイの戦い方は鋭い下の歯を使うらしく、その戦いで命を落とすサイもいるほどの激しくぶつかり合うようだ。
妊娠期間は約16ヵ月になり、産子数は1頭になる。子どもは3年ほどの間隔で産み、生後1~2年は母親が手厚く育てるが、次の子どもが生まれると年上の子どもは追い出されるようだ。
オスは約9歳、メスは約5歳で成熟する。

人と~
1513年頃、インドのゴアを占領したポルトガル人部隊は1頭のインドサイをマヌエル1世のもとに送った。、このサイは長い船旅の疲労によりあちこちに腫ものができていたという。だが、サイを初めて見たポルトガル人はこのままの姿を本当のインドサイだと思いスケッチをし、その絵が有名なドイツの版画家デューラー「Albrecht Durer」(1471-1528)にわたり、デューラーはその絵を見て木版画を作ったという。この腫物だらけのインドサイの図は以降18世紀にわたりサイの唯一の図像だとして、あらゆる博物誌に乗ることになったという。

中国ではサイの角が解毒剤などの毒見の道具として大切に取り扱われていた。それはインドサイだけではなく、アフリカ方面のサイもアラビアを回ってもたらされていたらしい。
用途は食べ物を口にする前にサイの角でかき混ぜ、食べ物に白い泡がたつようなら毒のある食べ物とされたようだ。また、その角を削って粉にしたものを食べると、解毒の効果があるとをされ、しかも、邪を祓う効果もあると言われていたらしい。
そのサイの角が解毒などの効果があるという俗信はヨーロッパまで伝わり、西洋のユニコーン伝説に取り入れられたという。

現在、インドサイは約2000頭と言われている。上で述べたとおり、サイを象徴する角は東洋では漢方薬として使われてきた。また、アフリカでは装飾品としても角が使われている。インドサイだけではなく、すべてのサイが絶滅危惧種に指定され、大型の哺乳類の中では今一番絶滅に近い動物だとされている。

属名リノケロス「rhinoceros」はギリシャ語の鼻「rhinos」と角「keratos」の鼻先にある角にちなむ。
そして、インドサイの種小名「unicornis」は1つの角の意があり、伝説のユニコーンという名前もラテン語で「一つの角」という意がある。








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