写真:金沢動物園
コアラ=有袋目 コアラ科 コアラ属英名:KOALA
学名:Phascolarctos cinereus
生息地:オーストラリア東部(クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州)
食べ物:ユーカリ、アカシア、ティーツリーの葉
寿命:約13~18年(野生)、約15~20年(飼育)
体長:65~82㎝ 体重4~15㎏
特徴:全体的に灰色の体で胸と首の色は白。黒くスベスベの大きい鼻、大きく丸い耳、つぶらな目
生息状況:凖絶滅危惧
別名:コアラベア、フクロクマ、コウモリクマ
水を飲まない動物だった!!
生態
コアラはオーストラリア東部にのみ生息している固有種になる。コアラはゆるいグループの中で単独で生活をしている。そのグループの中ではそれぞれの生活圏があり、「生活する木」があるという。グループの中ではゆるやかなコアラ社会が形成されている。それぞれの「生活する木」には他のコアラが近づかないように胸にある臭腺で自分の木にマーキングをするという。ほぼ一日を自分の木の樹上で過ごしている。木の上で過ごすコアラの手は特殊で爪は鋭いカギ爪になっており、親指と人差し指が他の指とはなれていて、木の枝や幹などをつかみ易い形になっている。そして常に木にしがみついているためか握力も強い。
一見小柄な動物に見えるが一日に約1キロも食べ中にはお腹の袋の中に食べ物をためておくコアラもいる。主食としているものはユーカリになり、そのユーカリには虫や動物に葉を食べられないために毒素が含まれている。だが、コアラはその毒素を分解できる肝臓をもち、長い腸で硬いユウカリの葉を消化する特殊な消化システムを持っている。ちなみに、ユーカリは約600種の種類に別れていうるが、コアラが食用としているものは35種ほどしかなくコアラはユーカリをにおいで嗅ぎ分けて食べているらしい。もちろんユーカリ以外の植物も食べている。そして、コアラが主食としているものはエネルギーになる栄養があまりないことから、一日の大半(約20時間)を寝て過ごすか休むことで、エネルギーを蓄えているという。
20時間も木の上で過ごすコアラは天敵が大きな猛禽類しかいない。たまに別の場所へ移動するときや消化を助けるために砂利を呑みこんだりするときなどに地上へ降りたつと、野生の犬やディンゴなどに襲われることがあるらしい。
コアラは水をほとんど飲まない生き物でもある。それは、コアラが主食としているユーカリの葉やそのほかの葉に含まれる水分を摂取しているからだという。そのため、原住民のアボリジニたちからは「水を飲まない動物」という意味を持つ言葉から「コアラ」と名づけられたという。
ちなみに、天災などで水分が取れないときは地上に降り、水辺で水を飲むことがある。
繁殖期は春(9月)~夏(2月)になり、オスは縄張りを誇示するために鳴くことがある。
妊娠期間は約35日で、一年に一度の出産で、大体が1子だが稀に双子が生まれることもある。
新生児は体長約2㎝、体重約0.5gの体毛も生えていない未熟児で生まれる。生まれたあとは、母親の育児嚢(いくじのう)で育てられる。育児嚢とは有袋類に見られる未熟児を育てるための袋のことになる。生後未熟児は育児嚢の中で約6~7ヶ月間育てられる。約22週で目が開き、24週で歯が生え始める。
育児中、母親は盲腸内でユーカリを半消化状態にし、緑色のパップという離乳食を作る。生後約22週ころから育児嚢から顔を出し始め、母親の肛門からパップ(離乳食)を直接食べ始める。その後約7週間をパップを食べ続けることで、体に、ユーカリを食べる耐性ができるという。
26~27週経つと育児嚢から完全に出始め、母親に抱かれたり、育児嚢に入ったり
を繰り返して過ごす。36週目になると完全に育児嚢には戻らなくなり体重も約1キロになる。その後、体重が2キロになるまでは母親に背負われて過ごし、12ヶ月が経つまでには乳離れをする。
この期間が一番天敵に襲われることが多いという。
その後、オスは数キロ離れた新しい生息地へ分散していき、2~3年で成熟するが、縄張りを持つまでは繁殖に参加出来ず、5年ほどで繁殖に参加するらしい。
メスはだいたいが母親の生息域にとどまり、約2年で繁殖可能になり、条件が良ければ毎年子を産み、12~15歳まで繁殖行動をとる。
人間と
オーストラリア特有種のコアラは先住民(アボリジニ)の食糧としてされていた。だが、ヨーロッパ人の植民地化以降1860年~1920年代後半では食糧よりも毛皮の為に乱獲されていたのだ。その頃イギリスのロンドンだけで、1~3万頭分の毛皮が販売されていたという。1889年には30万頭分の毛皮がイギリスへ輸出され、1920年にはアメリカにも輸出されていた。また、1919年にはクイーズランド州で100万頭以上、1924年にもニューサウスウェールズ州で100万頭以上が約一ヶ月で約58万頭も捕獲されたこともあるという。それがもとでだと思うが、1930年代初めになると絶滅の危機に瀕した。
その後、保護活動がされ現在は10万頭以下が生息しているようだが、大分減ったままである、
再導入の成果はあり、広範囲にわたって個体数は増えているという。
現在はユーカリの木など、生息地が減少したせいもあるが、いまだ凖絶滅危惧に指定されている。
属名ファスコラルクトス(Phascolarctidae) はギリシャ語で袋(phaskolos) をもった熊(arktos)
との意。上でも書いたが英名コアラはオーストラリア原住民による呼び名で「水を飲まない動物」の意味があると言われているらしい。
ちなみに、コアラは地上に降りて走ることもあり、短距離なら時速25㎞にもなるという。これは、100m走で14秒台がでるスピード。
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