ロバ、雪山へ行く


山スキーを楽しむロバ達

日本の冬は世界的に見ても雪が多い豪雪地帯だ。毎年、世界中からウィンタースポーツを楽しみにやってくる。しかも日本の雪質はパウダースノーと言い粉のようにサラサラしている雪になり、気温も低く、空気が乾燥している土地なので、特にスキーには最適な環境といわれている。最近ではスキー場のスキーだけでは物足らず、登山スキーや雪山登山を楽しむ人も多いと聞きいている。

「トンネルを抜けると雪景色」昔どこかで聞いた言葉を思い出す。本当は「トンネルを抜けると雪国」川端康成が書いた「雪国」に出てくる文章だが、俺の記憶ではドラえもんの映画で「のびた」が言った言葉が頭の中にこびりついている。雪景色とは、まぶしいほどの白い世界が広がり、地面に落ちてくる雪音がとても静かでとても暖かく感じる世界。一度見たことがある人は想像するだけでも心が静かになれるだろう。だが、そんな雪の世界は何人もの人々を魅了し人間が踏み入る隙をあたえ、人間をいとも簡単に呑みこんでしまう。雪山には、あらゆる手を使い呑み込もうとする白い誘惑がまっているのだ。今回は雪山の数多くある災害の中から「雪崩」の危険性を学ぼうと思う。

雪崩について‥
雪崩は簡単に2つの種類に別れている。
それが、点発生雪崩と面発生雪崩になる。点発生は一点から雪崩が起こり進むにつれ大きさやスピードが増していく。この点発生雪崩は複数の沢が合流している場所では危険だが、条件が揃っていないかぎり、恐ろしい威力にはならない。
そして、面発生は広い範囲の積雪面から勢いよく流れでる。スピード、パワーも点発生の比ではなくもっとも危険な雪崩なのだ。
そして、その点発生や面発生雪崩の中でも細かく分けて表層雪崩と全層雪崩の2つに分かれている。
「全層雪崩」とは少し暖かくなったころから雨が降り、その水が地面と雪の間に入り、地面と積雪の間に摩擦力が無くなり積雪が全て滑り落ちる雪崩になる。スピードは約40~100kmにも達し自動車並の速さになるという。
「表層雪崩」とは真冬の時期に起こる雪崩で、古い積雪の上に新しい積雪が多く降ったあとに起こりやすい雪崩になる。これは硬くなった古い積雪の上を滑り台のように流れるしくみになっている。この表層雪崩のスピードは最長で300km近くにもなりパワーは家が吹き飛ぶほどにもなるという。
一般の雪崩事故のほとんどがこの表層雪崩による被害だと考えられている。
そして、雪崩の脅威は雪崩本体だけではないのだ。雪崩から出る雪煙層があり、これは本体が止まっても突風に似た被害をもたらす事があるようだ。
このように、雪崩は恐ろしく危険な災害なのだ。
では雪崩をどうやって回避すればよいのか?簡単に並べてみたので覚えておくとより雪山を楽しめるはず‥

~雪崩注意ガイド~
*傾斜35~45度の斜面に注意!(起こりやすい角度)
*樹木が少ない斜面は注意!
*尾根や風下側の斜面にできる吹きだまりには注意!
*気温が急激に上昇、または下降したときは注意!
*雪山の行動時はなるべく転んだり、もがいたりと振動を与えない。
*一箇所に固まって集まったり、ひとかたまりになって行動しないこと。
*スキー時、トラバースや一列になって滑らないこと。
*必須アイテム:雪崩ビーコン(音が鳴る機械)、スコップ、ゾンデ(長い棒になる)を持つこと。特に雪崩ビーコンの使い方は事前にマスターすべし。

~もしも雪崩に巻き込まれたら~
①本流からひたすら逃げろ!下へ逃げるより本流から遠ざかるように横へ逃げること。
②のまれたら、雪の中を泳ぐように必死に掘り上に向かうこと!できたらサーフィンのパドリングのように。
③近くに木や岩があったらしがみつく!
④大声で仲間に自分の位置を知らせる!
⑤どうしても駄目だと思ったら自分の呼吸を確保するために鼻や口を両手で覆うこと!

~雪崩にのまれた仲間の救助方法~
①のみ込まれた仲間を最後に目撃した場所を目印に書いておく。もしくは記憶する。
②二次的な雪崩があるか確認し、誰がのまれたのかも確認しておき、時間も見ておく。
③目撃した場所を目印として何かを置き、全員で捜索開始。
④目印から雪崩の流路に沿って下を見て装備品や衣服、そして被害者を探す。
⑤二次的な雪崩が起こるかもしれないので注意しながら行動する。
⑥捜索中、ビップ音や声を探ること。
⑦徐々に捜索範囲を広げていく。
⑧装備品や服があった場所でゾンデ(長い棒)を使い手分けして雪面を刺す。
⑨障害物(木や岩)の近くも調べること。
⑩30~60分後、捜索隊を呼ぶ
⑪すでに調べた場所は目印をしておく。

以上、雪崩対策でした。

とはいってもそうそう冷静に行動できないだろう。雪山に入るなら熟練された山人間と同行したほうがいい。美しいものには危険が多い。世界にはまだまだ踏み入れてはいけない領域が沢山ある。雪山もその一つになるだろう。

ちなみに現在開発中の機械で雪崩の危険があろう場所を素早く測定することに成功している。これにより、近い将来ではケータイに雪崩予測が発信されるようになるかもしれない。

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