「命の森」①



        ユメミの植樹際

日本の森、世界の森、命の森つくり。

地球の森林は陸地の約3割を埋めている。陸上に住む殆どの動物はその森林に支えられ、共存しながら生きてきた。もちろん、人間も同じだった。

だが人間は高度経済成長期に入ると世界中の森林を伐採し多くの生命を奪い始めた。現在、その代償は計り知れないほどに大きな脅威となって返ってきている。今まで原生林があった土地では、森林によって蓄えられた自然のダムが無くなり、水不足や洪水の被害が相次ぐ。木の無くなった土地はやがて草も生えない荒れた土地となり、砂漠化が広がっていく。世界中で起こる異常気象や温暖化も森林がなくなっていることが原因の一つとなっている。
動物界でもひどい被害が起こっている。森が無くなり動物達の生息地が無くなることによって食物連鎖が狂わされ、ある動物は絶滅し、その絶滅した動物を餌としていた動物も絶滅の危機に瀕している。または、捕食者であった生き物が絶滅した事によって、増えすぎてしまった生物も多い。それらの動物は餌が無くなるまで食べつくして無くなった後は違う土地へ移動を始め、また食べつくしていく。時には人間の農作物までも被害にあう。森が無くなったせいで生物多様性とは程遠い環境ができてしまうのだ。森は人間だけじゃなく全ての生命に必要な聖地なのである。

「本物の森」を知ってるだろうか。
日本の森林面積は約25万平方㌔ほどあり、国土の69%にもなる。これは世界平均の31%を上回る森林大国となるのだ。だが、日本の森林の中で、手付かずの森「原生林」は約20%ほどしか残っていない。残りの80%は一度伐採され、その後また育ってきた2次林か、戦後の復興期以降に原生林を伐採し新しく植えた人工林(杉やヒノキ)の針葉樹林になる。日本にとって本物の森とは綺麗に整った景観を見せる杉林ではなく、日本の土地に元々あった「広葉樹林」(クスノキやブナなど)のことになる。本物の森「土地本来の森」は人口の森にくらべ多様な機能をはたすことができる。防音、防風、大気浄化、水質保全、土壌保全など、命を守る防災・環境保全林の役割をするのだ。まさに命を守る森「命の森」である。
命の森を伐採してまで取り入れた針葉樹は、今まで扱いやすくい商業用ということで木材として植えられてきたが、現在では日本の木材より安い海外の木材が輸入され、林業も低迷し、間伐のための杉林は手入れが行き届かなくなり荒廃になっているのが現状である。
本来使うはずの樹林が伐採されず、大切にしなくてはいけない世界中の原生林が伐採されている。
熱帯雨林では毎年、1420万ヘクタール(日本の本州の約2/3)が無くなっていき、(原因は商業用の森林伐採を始め、焼き畑農業になる)アマゾンの原生林では10秒ごとにサッカーグラウンド1つ分の森林が消えていると言う。そして、このままのスピードでいくと約100年後には森が消えるといっている。
日本は材木輸入国世界1位になっている。その殆どが、自国の木を使わず、輸入に頼っているのが現状だ。
今、世界中でその深刻な問題を直視し、改めようという行動も起きている。本物の森を作り、なおかつ、林業も高めようという試みだ。土地にあった木を植える植樹際は日本はもちろん、世界各地で開かれている。
「命の森」、人間が森を手放してからまだ100年足らずの年月しかたっていない。その前には何万年も前から森と共生してきた事実がある。森を消す事は1日でできるが、復活させるのには何十年もかかることを忘れないでほしい。

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