ハシブトカラス=スズメ目 カラス科
英名:jungle Crow
学名:Coruus macrorhynchos
出身:プリモルスキー、千島列島、サハリン、日本~東南アジア、インド、アフガニスタンなど
食べ物:雑食性(昆虫、トカゲ、カエル、穀物、果実、鳥の卵、雛、腐肉、残飯など)
体長:57cm
寿命:20年~30年(飼育)、約7~10年(野生)
特徴:全身黒色、厚く大きなクチバシ、歩くときは両足揃えてホッピング。
生息状況:ふつう種 「日露渡り鳥条約」指定種
漢字:嘴太鴉(烏)
カラス、恐るべき知能
生態
ハシブトカラスは海岸から山地に至る森林などに生息し、高木などに巣を作り、3~6月に3~5卵産む。この時、巣の近くで遊ぶを怒って飛びかかって来るので注意が必要だ。繁殖を終えると群れで行動し、集団で塒入りする。
本来、ジャングルなどの森林に生息するこのカラスは現在では都市部で生息することが多くなってきている。主な理由として、都市には天敵(猛禽類)などがいなく、巣などを作れる高層ビルや電柱など高い場所が多い。そして、何よりも餌(残飯)が豊富に取れることが上げられている。
カラスの知能
カラスは驚くほど知能が高い鳥になる。インコ類と1、2を争えるほどの知能を持っている。
①「記憶力」カラス類のカケスという鳥は4000箇所の場所に餌を隠す。その隠し場所もちゃんと忘れることがない。これは、「貯食」という食料の確保をする行為になる。そして、ハイイロホシガラスという鳥では30000個の松の種子を別々に隠すという。恐るべき記憶力だ。よく一度襲われた人がまた同じように襲われるのはカラスがその人の人相を覚えているからかもしれない。ちなみに、電車の線路に石が置かれていたニュースなどをひと昔前に見た覚えがあるが、その原因は人間の仕業だけではなくカラスが線路沿いの石の中に餌を隠していて、その石をどかす時に線路の上に置いたという。
②「学習」公園で水を飲む姿をカラスが見て覚えるのだ。人が立ち去ったあと、そのカラスは人間がやったように蛇口をひねり水を飲む。一回で出来ないときはもう一度人が飲む姿を見てできるようになるという。まるで無言の師匠に付く弟子のような覚え方だ。
③「考える」カラスのなかでも非常に頭の良いカレドニアカラスでは、木の穴の中に隠れている幼虫などを見つけると、細い枝を嘴で折、使いやすいように枝の形を変え、穴の中の幼虫を刺して取る行為をする。ある実験では、口の狭く途中から曲がっているビンの中に餌を置き、そのまわりに枝も用意した。カラスは最初はビンの中に嘴を入れるのだが、取れないことがわかると、用意された枝を使うようになったという。
もう一つは硬いクルミなどの餌を走ってくる車にひかせて中身を食べる行動だ。これも、自らの力で割れないことが解ったから割る方法を考えたことによる。と思う。
④「遊ぶ」都会に住むカラスはよく遊ぶらしい。子供が滑り台で遊んでいるのを見て、そのまねをしてカラスも滑り出すという。しかも何度も繰り返すみたいだ。本来動物は餌のためや身を守るためなどの生きるために何かをするのだが、都会のカラスは餌も豊富に確保でき、天敵もいないことから気持ち?に「余裕」ができる。人間も余裕があるから遊ぶ行動ができるようにカラスやペットのインコなど余裕ができると「遊ぶ」という行動ができるのだ。
とくに野生でのカラスの「遊び」は珍しい。
このように、カラスは優れた頭脳を持っている。人間が飼うには雛の時から育てないと人間に懐くことはないが、飼い馴らされたカラスは言葉も覚えるみたいだ。
日本でよく見かけるカラスはハシブトカラスとハシボソカラスになる。見た目はほとんど変わらないがハシボソは嘴が細く、ハシブトは嘴が太い、歩き方もハシボソは人間のように歩くが、ハシブトは足を揃えてホッピングして歩く。鳴き声もハシボソは「ガァァァグァ」とにごり、ハシブトは「カァカァ」と澄んでいる。そして、もともと人間の近くで暮らしていたのはハシブトではなくハシボソカラスなのだという。
備考
スズメ目は地上でもっとも新しい(進化した)鳥のグループになり、およそ、5200種にもなる。これは鳥類全体の60%になるという。その中でカラス科は24属117種(絶滅危惧種含む)がおり、羽色や形態からカラス類、カケス類、カササギ類、ホシガラス類、ベニバシガラス類などに分けられている。