シロイワヤギ

撮影:横浜市立金沢動物園

シロイワヤギ=偶蹄目 ウシ科 シロイワヤギ属
英名:MOUNTAIN  GOAT
学名:oreamnos americanus
生息地:カナダ西部、アメリカ合衆国北部、西部の高山帯のツンドラ
食べ物:草食、コケ類、小枝、地衣類など
寿命:9〜12年、飼育15〜20年
体長:約1.2〜1.6m  体重46〜140kg
特徴:白い体毛、少し湾曲した鋭い角、Vの字のようなハッキリとした蹄。
生息状況:地域的ふつう種
別名:シロカモシカ

驚愕のロッククライミング


シロイワヤギは北アメリカの山岳地帯に住み、比較的寒冷地を好んでいる。このヤギの特徴である全体を覆った長く厚い毛皮は寒冷地で過ごす最高の毛皮になっている。この体毛は雪に覆われた高山では雪の中で天敵から身を守るカモフラージュの役目にもなる。夏になると体毛は抜け落ちてくるが、シロイワヤギは暑い場所が苦手なので夏では標高2000m〜3500mほどの高さで暮らす。時には5000m付近でも目撃されているようだ。
シロイワヤギだけではなくほとんどのヤギ類は基本的に山岳地帯で生活をしている。岩場を登ったり木に登ったりと高い場所が好きなのかヤギはとても登るのが得意な動物である。だが、シロイワヤギは高山の崖っぷちとも言える場所を容易く?登っていくヤギの中でも伝説的なロッククライマーになる。
これは、シロイワヤギのもう一つの特徴である蹄に秘密があったのだ。このヤギの蹄はV字のように大きく分かれており蹄の裏にはゴツゴツとした面が登山靴のようになっている。さらに、踵部分にも2つの蹄があり、これにより滑りやすい崖や岩場を踏ん張ることができ、急斜面を下るときにはブレーキの役目にもなる。
この蹄のおかげで急斜面の岩場などを自由自在に移動していくことが可能になっている。上り方はとても慎重に足場を探しながら移動していくが、足だけではなく時には口も使うことがある。ちなみに、ヤギの目は特殊で顔の横にあり瞳も横に細くなっているため、ほぼ360度を見渡すことができるという。この特殊な目も崖を移動する際に重要な役割になっている。尚、崖や岩場での生活に慣れているせいかバランス感覚がよく、身体能力はとても高い。一回のジャンプで3メートルある岩をほ飛ぶほどの跳躍力を持っている。シロイワヤギの崖を上る姿は一見ベテランのロッククライマーも驚くほどだという。
ちなみに以下はシロイワヤギのロッククライミング写真になる。
nanapi     http://nanapi.jp/112106/
NHKダーウィンが来た http://www.nhk.or.jp/darwin-blog/2011/07/

 冬になると山岳の麓まで下山して生活をする。寒冷地であれば海岸でも生活しているらしい。夏ではオスは単独か2〜3頭ほどのオス達と行動するが、メスは20頭ほどのグループの中で自分の子供と生活をする。冬になるとオスメス共に大きな群れを作り、助け合いながら生活をする。そして、昼と夜に行動をし、草やコケ類などを食べる。水分の殆どはその餌からとっている。そのため、ミネラル補給を取るために岩肌についている塩を探す。塩のためならほぼ垂直の崖もよじ登っていくほどだという。時には塩を巡って争うこともあり、恐ろしいほどの塩執念を持っている。ちなみに、塩を取るのは他のヤギも一緒で、塩のためならダムの壁も登っていくようだ。

繁殖期(10月下旬頃〜1月上旬頃)になると、オス達はメスを巡って角を使って戦いを始める。妊娠期間は150〜186日ほどになり、出産時期は春頃になる。ふつうは1頭を産むが時に2頭生むこともある。
子供は生まれてから数分で立ち上がり、母親と共に早くも崖を歩き回る。目の前の岩を登ることで岩登りを覚えていく。授乳期間は3〜4ヶ月ほどあるようで、オスメスともに2年半ほどで性成熟するという。
シロイワヤギの天敵はクマ、オオカミ、ピューマなどがいるが、鷹などの猛禽類も時には襲ってくるという。タカは岩を登っているヤギを崖から突き落として補食する方法になる。体も大きく成熟した大人ヤギをいとも簡単に落とすのだ。人間も一人でクライミングするなら鷹には注意が必要かもしれない…。

シロイワヤギを見るには日本で唯一飼育している横浜市立金沢動物園にいくしかない。
ここの動物園では「ペンケ」と「ミキ」という名前のメスが2頭飼育されている。
1982年の開園当初からシロイワヤギを飼育し初の繁殖にも成功し、今までで合計36頭を飼育してきた動物園になる。だが、現在はメスが2頭だけになり、2頭とも高齢なので繁殖もできないらしい。暖かくなる6月〜は暑さをしのぐために屋内展示されているが、涼しくなれば野外の岩場で佇む姿を見ることができる。
興味があったら一度見に行ってみてはどうだろうか…。

小言
ヤギが鳴くと雨が降る。ヤギは乾燥した場所を好んでおり、沖縄では古くから「ヤギが鳴くと雨が降る」と言われているらしい。





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